2022/08/08 09:44


遂に夏休み!子ども達が元気に遊べればと思う反面、炎天下すぎて心配なところ。
私の取材も夕方に行くようにしていますが、参道の階段を登っただけで汗だくです🥵

さて。今回の狛犬セレクションは斐川町の狛犬をお休みして、
犬ではない生き物の像を紹介していきたいと思います。

第6回の時にも少し紹介しましたが、

今回はお稲荷さんに力を入れてみますよ!



まずは有名な一畑薬師のお稲荷さんから。


(小境町 一畑薬師)

真っ赤に輝く、新しいよだれかけ。祠の両脇にも2対おられるようです。

耳がピンと立って眉間の盛り上がり具合がくっきりとしています。
ジブリ映画に出てきたように、少し怖いイメージすらありますね。


そもそも狐としての特徴をどのくらい反映しているのでしょうか?
かなり神性が強調されているとは思いますが…改めて見てみます。



大体のシルエットは同じですが…目元の鋭さと、胸や頬の筋肉が強調されているようです。
次は反対に、狐っぽさがあまりないお稲荷さん。



(三刀屋町 三刀屋天満宮)

全体的に丸みを帯びたフォルム。耳が小さめで、顔つきも恵比寿さんのようです。

こちらはよだれかけではなく縄のようなものを首に巻き付けていますね。

そういえば、前回も阿祢神社で紅白の縄をつけたパターンを目にしました。
あと、こちらのお稲荷さんも…。


(斐川町 鳥屋神社)

調べましたが、縄に関する情報は見当たりませんでした。
もしかしたら他の地域では無い表現なのかも…。

しかし、似た表現をしたお稲荷さんはたくさんあります。


(斐川町 鳥屋神社 社殿両脇)


(平田町 宇美神社)

縄と表現が似ていて、宇美神社は脚の部分にも同じ彫刻が施されています。

もしかしたら、この毛並みの表現が縄に変化したのかもしれませんね。
はたまたその逆か…

情報お待ちしております!!



続いては、敷地の規模に比してお稲荷さんが格段に多かった神社。


(松江市宍道町 氷川神社)

大小を問わずあちらこちらに配置されている為、常にお稲荷さんの視線から逃れられません。
まずは一番最初に出迎えてくれる1対から。



深く刻まれた眼光の反面、足元には小さなお手玉。
豊穣や繁栄と共に子どもの健康もお祈りしているのでしょうか。

キバや顔のしわの表現も緻密です。



(他のお稲荷さんたち。ひとつひとつ個性がある)

お稲荷さんは細い部分が多くなる為か、風化が目立つ傾向にあるように思います。
他県にブロンズお稲荷さんが多いのはそういった理由もあるのかもしれません。


余談ですが、本殿裏側に龍蛇神?の像がありました。何か信仰があるのでしょうか。

お次も表情が濃いお稲荷さんです。



(斐川町 佐支多神社)

かなり風格を感じる1対です。
小さな鼻の穴やキバもさることながら、耳もかなり立体的に表現されています。



後方におられた1対も破損はしているものの、その瞳は生き生きとしていました。
鼻先が無いのがむしろ、パンクなマスクに感じてしまうほどに。

こちらのお稲荷さんたちの台座はとても綺麗に残っていたので記録しておきます。


(左:前方 右:後方)

図案は同じなので後方は先代なのかもしれません。
前方左の台座は植物が接しているためか、少し風化が進んでいました。

縁起物の意匠は以前に解説したものとほぼ同じですね。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
↓以前投稿した図案についての解説はコチラ↓
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

特徴的なのは巻物の積み方と、大福帳と硯の間に小判と分銅がある点でしょうか。
笠は一番欠損しやすいので、造形がしっかり残っているのは貴重です。

さらに下の台には今は閉店したジョイタウンの名も…。



そして、この神社にはもう一つ特徴がありました。



最初に訪れた際は、何だろうと思いつつ撮影しなかったこの穴。
これは一部のお稲荷さんの社殿裏に見られるもので、
眷属であるキツネ、または管狐が出入りする穴だということです。



(斐川町 御名方神社)

小泉八雲曰く【狐の穴】。最近は【狐穴】と呼ばれることも。
中にはお供えものが入れてあるそうですが、特に木片以外は見当たりませんでした。
現在はそういった信仰をしていないのかもしれませんね、狐以外も住んでしまいそうですし。

今までたくさん見逃していたと思うと悔しいですが、これからはチェックしようと思います。


今回もボリューム満点になってしまいました。
沢山まわっても、まだまだ知らないことがたくさんありますね。

取材のためにも、9月にかけて少しでも涼しくなってくれることを祈ります。


ではまた。