2022/02/17 15:55
思い出したように雪が降る2月いかがお過ごしでしょうか。
以前、『第6回 狛犬セレクション ~いろいろな生き物~』の中で
お稲荷さんを取り扱ったことがあります。
その際に台座の図案で不明なものがあり、ずっ~と心に引っかかっていました。

(左が不明だった図案 オクラにしか見えない)
細々と調べるものの・・・そもそも、図案を施したお稲荷さんの台座そのものが少なく調査は難航。
家紋の袋角のひとつにも似てるけど確証がない・・・
銭束かな・・・やっぱりオクラかな・・・モヤモヤ・・・
しかし今月!遂にその答えを見つけました。
きっかけとなったのは古典柄の一種、『宝尽くし』。
幸運の象徴となるものを集めた模様で、着物や陶器に使われています。

見ると台座の図案と同じものがたくさんあるではありませんか。

(当てはめてみるとこんな感じ)
金嚢:宝物を入れる袋、宝袋とも
巻物:お経が書かれた巻物 これがクロスしている場合は筒守
小槌:ご存じ打ち出の小槌
隠蓑:天狗が持っている姿を消す蓑
隠笠:隠蓑と同じ効用の笠
宝鑰:宝の入っている蔵のカギ
宝珠:望むものを取り出せる不思議な玉
なるほど、縁起の良い伝統的な図案を台座に取り入れていたワケですね。
その中に・・・

これだー!
やや七宝の意匠も入っているものの、
正体は【丁子(ちょうじ)】。
名前だけ聞くと結局何なんだよって感じですが、
今でいうところの香辛料の【クローブ】です。

クローブは室町時代に日本に伝わっていて、
お香や魔除け・霊薬として、古くから貴族や武士に珍重されたそうです。
図案としては、夫婦円満や、健康長寿を表しているとか。
しかし、
「どう贔屓目に見てもクローブにみえません!」
という感じなのは、『宝尽くし』が中国の吉祥文様である『八宝』・『雑宝』を基にしたものだからではないでしょうか。
日本に取り入れる際に、日本の縁起物に置き換えたそうです。
中国の『雑宝』にもクローブはあるらしいのですが、
クロスする三角柱の図案は主に【角杯(犀角杯)】(サイの角を盃にしたもので毒を浄化する)と紹介されています。
日本には犀角杯がなかったため、置き換わったのでしょうか。
角ということであればクローブよりはしっくりきます。
また、城山公園にある福徳稲荷神社のお稲荷さんの台座には
硯と筆、大福帳(昔の金銭出納帳)が一緒に描かれていました。

(松江城山公園 松江神社そばにある福徳稲荷神社 ニコォ…( ⌒ω⌒)…)
大福帳は主に江戸時代に使われていたものです。
台座には様々な縁起物が描かれているのですね。
このお稲荷さんは令和2年の奉納。
独特の表情は城山稲荷神社の随身門にあったお稲荷さんを参考にしたのでしょうかね。
さて、長くかかりましたがやっとスッキリしました。
こういった細かい図案は風化によってどんどん消えてわからなくなっているものが多いです。
記録のためにも写真を集め続けてみようと思います。
最後に子ぎつねのキュートな笑顔をどうぞ。

では、また。